今日はこんな疑問にこたえていきましょう!
子ども・子育て支援法が成立した2012年から約7年間保育士の採用活動に従事。
その間、千葉県や埼玉県にある保育園の運営会社で、保育士の採用や保育園の開発に私は携わってきました。
開発した保育園は定員19名未満の小規模保育園や企業主導型保育園なので、運営実績、お金の流れ、保護者からの声を参考に結論づけたいと思います。
2016年4月から始まった企業主導型保育事業でありますが、保育の質低下を懸念する声が多く当初からネガティブなニュースが散見されていました。
開園当初から評判や最近のニュースを見る限り、企業主導型保育事業は地域によってはオワコンであるとわたしは思います。
2019年4月23日の日経新聞の記事になりましたが、児童定員に対する充足率が50%未満である点。つまり半数は空いてしまっている状況です。
認可された小規模保育園であれば、年度途中に園児が転園してしまうことはありますが、年間を通してみれば100%に近い数値となり、需要と供給のバランスが崩れている証拠です。
また、自治体が認可する小規模保育園では、厳しい審査があり開園するための競争(プレゼンテーション)がありますし、入園児童は自治体が判定して決まります。
しかし、企業主導型保育事業の場合、事業の最終決定に自治体は関与しないですし、入園児童は企業主導型保育園の運営法人で集めなければなりません。
需要がない地域に開園してしまったら、園児の獲得も困難となります。
2つ目の理由は、定員充足率60%以下では長期的に事業を成立させることは困難です。
企業主導型保育園の場合、収入源は保護者が支払う保育料と国から拠出される助成金です。
保育園を運営するためには、保育士や調理スタッフの人件費、家賃、給食食材費など様々な経費がかかります。
定員19名の小規模保育園の場合、常勤やパートの保育士等を10名程度採用しているかと思いますので、年間経費で2,000万以上必要となります。
定員充足率60%以下では、本来受け取れる見込んでいた助成金も60%以下となります。
そうなれば、支払うべき給料や家賃も払えなくなり、事業が成り立たなくなります。
世田谷で閉園した企業主導型保育園の充足率は分かりませんが、助成金の入金スパン(請求から入金までの期間)が遅く、3ヶ月以上の運営費の蓄えがない場合は資金繰りに苦しむことになります。
定員充足率では資金を使いきり、将来的には休園や閉園のリスクが出てきますので、事業が成り立たなくなります。
3つ目の理由は事業者のモラルの低下です。
大阪市にある企業主導型保育園を運営している経営者が助成金詐欺の疑いがかかっています。
決算書も偽造されており会計事務所に絡んでいるのではないかと憶測を読んでいます。
「児童育成協会の審査が甘い」という評判がこのようなモラルない事業者を生んでしまったと考えられます。
待機児童解消、保育の受け皿50万人確保という大きな目標を達成するための行動は必要ですが、企業から拠出された資金を使っているわけです。
審査は適正かつ慎重におこなわなければモラルのない事業者が今後も現れてしまう可能性があります。
オワコンにならないために、企業主導型保育園が取れる対策をお伝えします。
やれることはたくさんありますが、代表的なものをいくつかお伝えしますね。
まずは何より保育需要があるのかをを把握することです。
保育の需要(待機児童)があるのかどうかを確認しましょう!確認方法は自治体の保育課で確認することはすぐできます。
待機児童が発生しているのにあなたの保育園に子どもがいなければ、あなたの保育園に何かしらの課題があるわけです。
待機児童を確認するときは自治体全体で把握するのではなく、地域に絞って把握していきましょう!
地域的に通うことが困難な待機児童を人数に入れることなく、入園可能な地域に住む待機児童がどれくらいいるのかを確認します、
保育需要を把握したら自治体の保育課と連携しましょう!連携といっても保育園を探してくれる保護者を紹介してくれるわけではありません。
しかし、定期的に電話したり訪問したりすることは重要です。
自治体によってはチラシを置いたり、情報を教えてくれたりしますので自治体との関係作りを行いましょう!
保育園を探している人は間違いなく保育課に訪問します。自治体担当者としては、保育園に空きのないことを保護者(市民)から責められることもあるでしょう。
そんな時にあなたの保育園のチラシがあることで救いになるわけです。
自治体と連携し、チラシを置いてもらうようにしましょう!
自治体への連携も広報活動の1つですが、直接保護者へ広報活動をすることも必要です。
私が企業主導型保育園を開園したときは、保護者が通う得そうなエリアを決め、最重要エリア(A)と重要エリア(B)を決めました。
Aエリアには2回、Bエリアに1回、自分たちの足を使い、ポスティングチラシを10,000枚近く配りました。
その結果、数ヶ月で定員の3倍上回る見学・申し込みをいただき、開園当初より定員を満たすことができました。
広報活動には、自分たちの足で配るポスティング以外にも印刷会社を使う外注があります。
チラシこそオワコンって思う方には、インターネットやSNSを活用する方法もあります。あなたの保育園にあった広報活動でいいので、広報活動を実施することが必要です。
次の対策としては、企業との連携先を増やすことが重要です。企業主導型保育園では定員の半数以上は自社の雇用か企業協定を結んだ会社の従業員と決まっています。
将来定員の弾力化がなくなってしまう可能性がありますので、企業との連携は増やすしておくことが必要です。
根本的な解決にならないかもしれませんが、赤字運営を割り切る(受け入れる)ことも選択肢の1つです。
企業主導型保育園は、本来の目的である従業員の福利厚生として完全に割り切り、本業でしっかり儲ける体制(考え)にすることも必要かもしれません。
先に紹介した方法をおこなうと、1人以上に人材が必要になります。
1人以上の人件費を企業主導型保育事業の広報に使うより、本業の売上を上げることに人材を投入して方が良いという考えもあって良いと思います。
自社で運営するのではなく、保育事業者に一括外注しても良いかもしれませんね。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
企業主導型保育事業はオワコンなのか?についての私の考えは、
地域によっては、企業主導型保育園は何もしなければオワコンです。でも、需要のある地域は大丈夫です。
オワコンのまま(赤字運営)でも良ければそのまま運営を続ければいい。
オワコンにならないためには、園児を獲得するための活動が必要です。
具体的な活動は、
- 保育需要の調査
- 自治体との連携
- 広報活動
- 利用の可能性のある企業との連携を増やす
- 外注する
あなたにとって最も良い選択肢を選んでもらえるように応援しています。
どうしたら良いか分からなくなったらいつでもご相談してください。
また新規開園する方を対象に有料noteを書きましたので、ご参考に。。