一般の家庭で「餅つき」をするところが減ってきているいま、貴重な日本伝統行事を体験させることも保育園の大切な役目のひとつになっています。
この季節にしかできない体験だからこそ、子どもたちもとっても楽しみにしている「餅つき」。 心からめいっぱい楽しむためには、やはり安全な運営が重要になってきますよね。 今回は、「餅つき」に関する注意点をまとめました。
毎年、この季節に流行する「ノロウイルス」。幼稚園や小学校で催されたお餅つきで集団感染してしまったというニュースをご覧になった方も多いと思います。
お餅つきでノロウイルスが広がってしまう原因は、使用頻度の少ない杵や臼などの道具類の管理がきちんとされていなかったり、餅の手返しや切り分けなど素手で行われる作業が多いこと、参加者が多く(職員・園児・保護者など)衛生管理が徹底しにくいことなど複数あります。
餅つきでノロウイルス感染を防ぐために、次のことを徹底しましょう。
・ | 体調の悪い人は参加させない(風邪をひいている人・お腹がゆるい人など) |
・ | 全員の手洗い・うがいを徹底させる |
・ | 調理者には、清潔なエプロン・マスク・手袋で身支度をさせる |
・ | 手返しの水は、ひと臼つくごとに取り替える |
また、お米は研ぐと傷みやすくなりますので、長時間浸水させる場合は冷蔵庫に入れて保管しましょう。
力のない子どもたちがついた餅は、どうしてもできが悪くなり、おいしくないもの。衛生面からも、子どもたちがついた分は飾り用に使うなどの対応も選択肢のひとつとして検討してみても良いかもしれません。
臼の準備は、職員など大人だけで行うことになると思いますが、大人だってケガは避けたいもの。臼の持ち手は、臼を持ち上げるためではなく起こすためにあるものですので、持ち上げる際は底の部分を持つことになります。地面に置く際は、臼を足の上に落してしまったり、地面との間に指を挟んでしまったりしてケガをしないよう、取り扱いに十分注意してください。
杵を持った「つき手」が慣れていないと、杵を持ち上げている間の「ため」がなくなり、手返し中に杵を下ろしてしまって手をつかれることがあります。つき手と返し手が声をかけ合いながら餅をつきましょう。返しを失敗しても、やり直さずにそのまま手を引っ込めてください。 大人がある程度ついた餅を子どもたちにつかせることになるかと思いますが、子どもたちがつく間は手返しなしでも良いと思います。
餅つき中に杵の柄が抜けてしまうことなどが起こらないよう、事前に杵にゆるみや壊れた箇所がないかチェックしておきましょう。
餅つきには、火や熱湯を使います。そういった作業は、子どもたちには行わせず大人が行いましょう。大人が扱う際も十分に注意し、やけどなどをしないように気をつけてください。
お餅は3歳頃から食べさせてOKな食材ですが、子どもたちが食べている間は目を離さないようにしてください。
さらに、喉に詰まりにくくするための工夫として、
・ | お餅を食べる前に水分を取って口の中をうるおしておく |
・ | 丸呑みにならないよう、「よく噛んでから飲み込む」ことを約束させておく |
などが挙げられます。
お雑煮やお汁粉のように、お餅を汁物の具として使うことは、詰まりにくくさせるためにも良い方法ですので、おすすめです。